株主優待って言葉はよく聞くけど、株主優待が届く仕組みはよく分かっていない!という方は多いのではないでしょうか。
株主優待の基本的な知識をご紹介していきます。
株主優待は何のためにあるの?
会社が何か事業を始めると、多額な資金が必要になります。
そこで、株式会社は資金を持っている投資家から資金を集めて、事業をはじめるための経費に使います。
もちろん、タダで資金を渡すわけではありません。会社は資金を提供してくれた投資家を「株主」と呼んで、株主に対していくつかの権利を渡します。
【株主の権利】
- 株式が上昇したときに、値上がり益を得る権利
- 配当金を受け取る権利
- 購入した株はいつでも売却できる権利
- 株主総会に参加する権利
- 株主優待をもらう権利
株主の権利のうちの一つが、株主優待をもらう権利です。株主優待はすべての企業がとっているものではありませんが、一部の企業は商品やサービス券などを提供しています。
また、株主優待をもらう権利と同時に、株主総会や株主限定イベントに参加する権利も得られます。株主総会に参加すると、そこでさらに自社商品がもらえる場合もあります。
※現在、多くの企業で株主総会でのおみやげの配付・懇親会の開催を廃止にしているので、株主総会でおみやげがもらえる企業は少数です。
株主優待をもらうための条件
株主優待をもらうためには、権利確定日(通常は決算日)に株主であることが必要です。権利確定日に株主だと確定すると、株主名簿に記載されることになります。「株主名簿に名前が記載されることで、株主優待品が送られる」という仕組みです!
「権利付き最終日」(権利確定日の3営業日前)と呼ばれる日までに、一定数以上の株を所有していることが必要です。株式の受け渡しが終わるまでに3日間かかるので、権利確定日にあわてて購入しても、株主優待を受取れる権利はもらえません。
権利付き最終日に保有していれば、たった1日株を保有しているだけでも、株主優待をもらうことができます。
※たいていは月末が権利確定日です。企業によっては、20日や15日を権利確定日に設定している場合もあります。権利確定日の詳細や株主優待をもらえる基準は、各企業のホームページの「IR情報」メニューの株主優待詳細ページで確認してくださいね。突然、優待内容が変更される場合もありますよ。
株主優待の詳細ページで優待の基準を知る
企業のホームページで、「株主優待の権利確定日」や「株主優待をもらえる株数」について確認する方法をご紹介します。
IR情報欄で、株主優待に関するページをひらきます。
株主優待に関するページでは、「権利確定日」と「保有株数ごとに届く優待券の内容」について記載があります。
投資金額(株価×株数+取引手数料)と優待の内容を吟味して、保有株数を決めていきましょう!
権利確定日と権利付き最終日を具体的に確認しよう
月末が休日の場合と平日の場合に分けて、それぞれ権利確定日と権利付き最終日を確認していきましょう。
まずは、月末が休日の場合を見ていきましょう。
【月末が休日の場合】
- 4月24日(火)権利付き最終日
- 4月25日(水)
- 4月26日(木)
- 4月27日(金)権利確定日
- 4月28日(土)休日
- 4月29日(日)休日
- 4月30日(月)祝日
4月の月末は土日祝日が続いたこともあって、権利確定日(月末の最終営業日)は4月27日(金)にさかのぼります。その3営業日前は、4月24日(火)なので、この日までに株を保有しておく必要がありました。
次に、月末が休日の場合を確認します。
【月末が平日の場合】
- 5月28日(月)権利付き最終日
- 5月29日(火)
- 5月30日(水)
- 5月31日(木)権利確定日
月末の5月31日は平日で営業日なので、月末がそのまま権利確定日です。
その3営業日前の5月28日(月)が権利付き最終日になります。
株主優待をもらうまでの流れ
株主優待は株主になったことが確定しても、すぐに届くわけではありません。
株主名簿に名前が記載されてから3ヶ月程度経ってから、株主優待が届きます。また、株主名簿に名前が記載されても連絡はなく、株主優待も突然、郵送されます。
例として、3月末が権利確定日の株を保有した場合、株主優待が郵送されるまでの流れをご紹介します。
- 3月末の権利付き最終日まで:株式を購入する
- 3月末:権利確定日
- 4月~5月:決算の発表
- 5月~6月:株主総会の開催
- 6月中旬頃:株主優待が郵送される
※企業によっては、株主総会の開催前に株主優待が郵送される場合もあります。
「優待利回り」で株主優待のお得度がわかる
株主優待の内容は、企業によってそれぞれ異なっています。
たとえば、クオカードを優待品にする企業はとても多いですが、「年に何回もらえるか」「何円相当のクオカードがもらえるか」「何株から優待がもらえるか」「優待をもらうために必要なコスト」は全く異なります。
一般的には、100株以上の株数を保有すれば、優待品を配布する企業は多いです。
中には、「1000株以上を保有しなければ、優待品を配布しない企業」、また株の保有期間が~年以上といった、「一定数以上の株を長期保有している人だけに優待品を配布する企業」など、優待品を配布する基準は様々です。
優待利回りの計算方法
優待利回りは、優待の相当額÷投資金額×100倍で計算します。また、優待が年に二回もらえる場合は、優待利回りで出た数値を2倍します。優待利回りの数値が大きくなるほど、優待内容はお得ということになります。
実際に、優待利回りを計算してみましょう。
- 100株で1,000円分の優待がもらえるA銘柄(優待は年1回、株価2,200円)
- 100株で3,000円分の優待がもらえるB銘柄(優待は年2回、株価1,300円)
まず、A銘柄の優待利回りを計算します。
投資金額は、株価×株数で計算します。
- 優待の相当額:1,000円
- 投資金額:2,200円×100株=220,000円
優待利回り=1,000円÷220,000×100倍=0.45
次に、B銘柄の優待利回りを計算していきます。
- 優待の相当額:3,000円
- 投資金額:1,300円×100株=130,000円
優待利回り=3,000円÷130,000円×100倍×2回=4.61
もらえる優待券の額の差は2,000円でも、優待利回りを計算してみると大きな差があることが分かりますね!
優待の相当額は、商品券や金券ならすぐに計算できますね。優待品が企業の商品でも、商品の販売価格を調べれば、優待利回りを簡単に計算できますよ。
優待利回りが高い銘柄の注意点
優待利回りの計算式を再度、確認してみましょう。計算式の分母は「投資金額(株価×株数)」になっていますよね。
分母の投資金額が低いと、優待利回りの数値は高くなります。
優待利回りが高くても、継続的に株価が下落している場合は注意が必要です。
株価が下落し続けて会社を運営する資金が集まらなくなると、設備投資も難しくなり、経営が悪化する可能性があります。また、リストラや倒産ということにもなりかねません。
優待利回りは、優待内容のお得度をはかる物差しの一つです。実際に、保有する株を決める場合は、企業の業績や株価の変動状況など、多くのポイントを確認してから決めましょう!
まとめ
まずは、株主優待をもらうための流れや優待利回りの計算方法についてご紹介しました。
株主優待をもらうためには、権利付き最終日までに株を所有することが大前提です。(権利確定日と間違いやすいので注意!)
優待利回りもうまく使って、お得な株主優待を取っていきましょう!